鳥取県 倉吉市 打吹玉川 Utubuki-Tamagawa
鳥取県のほぼ中央にある倉吉は,江戸時代から明治大正時代にかけて、商業都市として繁栄した.
保存地区は豊かな意匠を持つ町家が建ち並ぶみ本町通りと,土蔵群と石橋が連続する玉川沿いからなる.
赤褐色の石州瓦の屋根,軒まわりの海老状に曲がった腕木ゃ持送り板,腰格子や繊細な出格子等の意匠に,
地域的特色があらわれている.
鳥取県 大山町 所子 Daisencho-Tokorogo
大山町所子は,中国地方最高峰大山(1709m)の北麓に広がる扇状台地上に形成された農村集落である.
大山道(坊領道)に沿って近世に発展した「カミ」「シモ」の家屋群を中心とする町並みは,
通りに面して棟を平行に並べる主屋と,敷地を塀や生垣で囲う屋敷構えが連続する景観が特徴である.
さらに周囲の旧態を留める田畑や水路とが一体となり,この地域の伝統的な農村の姿を伝えている.
島根県 大田市 大森銀山 Omori-Ginzan
大森銀山地区は,幕府直轄地約4万8千石・約150ヵ村の中心の町であった.
14世紀初めに発見されたと伝えられる銀山での産銀量は,17世紀初頭にピークを迎え海外にも輸出された.
銀山川沿い約2.8kmの範囲の町並には,代官所跡や郷宿、武家屋敷,商家などが現存し、
背後の山裾には社寺や墓地・石切場なども残され,鉱山町の歴史的景観を伝えている.
島根県 大田市 温泉津 Yunotu
温泉津地区は天然の温泉が湧き出る港町で,中世より石見銀山の外港として発展してきた.
狭隘な谷をを切り開いた約800メートルの町屋は,近世の町割りをよく残している.
江戸末期から昭和初期にかけて建てられた町家を中心に,旅館や寺社などの多様な建造物が並んでいる.
それらが周囲の海や山とともに、港町・温泉町の景観を形成している.
島根県 津和野町 津和野 Tsuwano
島根県の最西端に位置する津和野は,周囲を山々に囲まれた町並が津和野川沿いに展開する.
保存地区の地割りは江戸初期の姿を留め,旧武家地(殿町通り)と旧町人地(本町通り)が併存している.
幕末から昭和初期にかけて形成された石州赤瓦葺きの建造物群の中に,
カトリック教会などの洋風建築が町並みに変化を与えている.
岡山県 倉敷市 倉敷川畔 Kurashijigawahan
倉敷川を中心に鶴形山及びその南麓の町筋を囲む当初の保存地区は,近年,東側に範囲が拡大された.
つし二階で本瓦葺きの主屋や土蔵など,伝統的な建造物が建ち並んでいる.
塗屋造で庇屋根の上に瓦を貼った建物が多く,水切り庇を付けた海鼠壁の土蔵や瓦葺きの高塀等と共に,
重厚の中に明るさをもつ独特の景観をつくっている.
岡山県 津山市 城東 Joutou
保存地区は,神山城の東を流れる宮川の左岸で,東西に横断する旧出雲往来沿いに位置する.
町並みは2ヵ所の枡方を挟みながら約1.2kmにわたって直線的に連続し,東端が津山城下町の東限となる.
幕末から昭和初期までに建てられた町家は,つし二階建てを基本として面が道路際から立ち上がり,
庇の軒先が揃った連続した景観をつくりだしている.
岡山県 高梁市 吹屋 Fukiya
岡山県内部吉備高原上の山間地にあり,吹屋は近世以降,銅山とベンガラで繁栄Lた鉱山町である.
起伏の多い丘陵に囲まれた挟い盆地内の街道に沿って,町家主屋や士蔵等が建ち並んでいるている.
屋根には赤褐色の石州瓦か用いられ,赤いベンガラ壁や白漆喰塗りの平入・妻入の町屋が混在し,
地方色豊かで変化ある町並み景観を形成している..
広島県 呉市 豊町御手洗 Yutakamachi-Mitarai
大崎下島東端にある御手洗は,江戸時代の西廻り航路の志雄町潮待ち・風待ちの港町として栄えた.
地割は町の形成以来の形態を残し,伝統的な建造物も数多く残されている.
常盤町には切妻・妻入の町家群が建ち並び,住吉町には江戸時代に西国諸藩が利用した船宿の遺構が残る.海岸に沿って建ち並ぶ中小の町家と千砂子波止等の港湾施設が一体となり,港町の風情をよく伝えている.
広島県 竹原市 竹原 Takehara
竹原は広島県中部の瀬戸内海に面する商家町である.
江戸時代,入浜塩田での製塩に加えて廻船や酒造等による蓄財を元に町は繁栄し、町人文化も隆盛をみた.
建造物の大半は,江戸中期から明治時代に建てられた本瓦葺き・塗屋造の町家である.
これらが連続する町並景観は重厚かつ繊細で,数寄屋造の座敷と庭園をもつ建物も見ることが出来る.
広島県 福山市 鞆町 Tomomachi
瀬戸内海・沼隈半島南東部にある鞆の浦は,海上交通の 要衝で,特に潮待ち港として栄えてきた.
保存地区には,中世の骨格を引き継ぎながら江戸中期までに整 えられた地割と共に,
江戸時代からの伝統的な町家や寺社,石垣等の石造物,港湾施設などが一体となって良好 に残り,
瀬戸内の港町としての歴史的風致を良く伝えている.
山口県 萩市 堀内 Horiuchi
城下町萩は,毛利輝元が慶長13(1608)年に指月山に城を築き,町割りを行ったことに始まる.
保存地区は三の丸の堀内のほぼ全域で,藩の諸役所(御蔵元・諸郡御用屋敷・御膳夫所・御徒士所等)と,
毛利一門をはじめとする大身の侍屋敷が建ち並んでいた.
近世城下町の侍屋敷としての地割をよく残し,土塀越しにみえる夏蜜柑と共に歴史的風致を形成している.
山口県 萩市 平安古 Hiyako
城下町萩は阿武川下流デルタに位置する.武士のうち重臣の多くは三の丸である堀内に居住したが,
平安古地区は開墾が進むのにのに並行して多数くの武士が屋敷地を備えたところのひとつである.
橋本川沿いにあり,江戸時代以来の地割りをよく残し,主屋のほか長屋門・土蔵などの建築物を良く残し,当時の屋敷構えをうかがうことができる.
山口県 萩市 浜崎 Hmasaki
浜崎は,城下町が形成された阿武川下流デルタ北東端に,城下町の形成にともなって開かれた港町である.
近世は回船業と水産業で栄え,大正から昭和初期にはイリコや夏蜜柑等の交易で栄えた.
江戸時代以来の街路構成及び敷地割が残り,江戸時代から昭和初期に建てられた建物が多く残る.
また御座船を納めた御船倉は国史跡に指定されている.
山口県 萩市 佐々並市 Sasanamiichi
佐々並市は,日本海側に位置する萩城下町と瀬戸内側の三田尻の港を結ぶ萩往還沿いの山間部に位置する.
慶長年間の頃,藩主の休息の為の御茶屋を起点に,萩往還沿いの宿駅として町並みが成立したとみられる.
保存地区には,幕末から近代にかけて建てられた茅葺きや赤色の石州瓦で葺かれた主屋が建ち並び,
周囲の棚田を構成する石垣や水路と一体をなす町並みを形成Lている.
山口県 柳井市 古市金屋 Fruichi-Kanaya
柳井津は,瀬戸内海の舟運を利した市場町として柳井川と姫田川の間に自然発生的に形成され,
中世近世を通じて海運を背景に商業都市として繁栄した.
柳井津でも最も古くに開かれた部分の保存地区は,中世商業都市の地割りlを伝えるだけでなく,
明和 5(1768)年 の大火後に改築された本瓦葺きで白い大壁造の町家が建ち並び,良好に保存されている.
徳島県 美馬市 脇町南町 Wakimachi-Minamimachi
徳山県のほぼ中央,吉野川北岸に位置する脇町は,江戸時代より通商産業が盛んで,
阿波特産の監の吉野川中流域の集散地として繁栄し,大規模で豪壮な商家が軒を並べていた.
18世紀初頭以降の各時期の町家が数多く残り,かつての繁栄をよく示している.
町並み景観を構成する町屋群は,本瓦葺・大壁造の重厚な構えと装飾的な「うだつ」等に特色がみられる.
徳島県 三好市東祖谷山村 落合 Ochiai
東祖谷山村は徳島県西部の山岳I地域で,保存地区は山の急斜面に沿つて広がる集落である.
江戸中期から昭和初期に建造された家屋や石垣が急斜面に張り付いている.
さらに斜面に拡がる耕作地,および三所神社周辺の鎮守の森などがこれらと一体となり,
対岸の中上地区からは壮大な景観が眺望できる.
徳島県 牟岐町 出輪島 Debajima
徳島県南部牟岐町の南海上に浮かぶ出羽島は,鰹漁を中心とした漁業によって繁栄した漁村集落である.
江戸後期の本格的な移住開始を契機に,島北部の入江を利用した港の周りに集落が形成された.
幕末から昭和初期までの伝統的な主屋が良く残り,集落拡大の変遷を示す歴史的な地割りと一体となって,離島における伝統的漁村集落の風致をよく伝えている.
香川県 丸亀市塩飽本島 笠島 Kasajima
塩飽本島町は,塩飽廻船の根拠地として,塩飽諸島のなかで最も栄えた港町の一つである.
三方を丘陵に阻まれ,集落内Iこ網目のように巡らされた狭い路地とこれに取りつく宅地,
周辺の山際に配された寺社など,江戸時代以来の町の形態をよく伝えている.
瀬戸内特有の明るい落ち着いた雰囲気に,周囲の自然環境の豊かさも加わって独特の風情がある.
愛媛県 西予市宇和町 卯之町 Unomachi
宇和島藩の在郷町・卯之町は,宇和島街道の宿駅や第43番札所・源光山明石寺の門前町としても賑わった.
江戸時代からの地割りや重厚な町屋等をよく残しており,
町屋は妻入りと平入りが混在し,格子や持ち送り,飾り瓦等の意匠などに特徴がある.
また近代の教会や学校等の洋風建築も存在し,特徴ある歴史的風致をよく伝えている.
愛媛県 内子町 八日市護国 Yokaichi-Gokoku
内子町は愛媛県中西部の内山盆地にあり,旧市街地は河岸段丘上を通る旧松山街道沿いに形成された.
町は,木蝋の伊予式晒法の考案によって,江戸時代後半から明治にかけて繁栄した.
塗屋造で腰を海鼠壁とする町家が連続する内子町では,これまでの町並み保存の枠を越え,
町全体の重厚な歴史的景観や自然・風致を活かした地域づくりを目指している.
高知県 室戸市 吉良川町 Kiragawacho
高知県東辺に位置する吉良川町は,江戸時代に高知lから室戸に至る浜街道沿いに形成され,
特に明治から昭和初期にかけて良質な木炭の集散地として繁栄した.
近世から近代の経済発展により形成された町は,主屋・蔵・いしぐろ等,地域の伝統的形態を良く残し,
土佐地方の在郷町として特色ある歴史的風致を伝えている.
高知県 安芸市 土居廓中 Doikachu
保存地区は,安芸平野のほぼ中央,安芸川の西岸にあり,戦国期築造の安芸城に近接している.
土佐藩家老五藤家の屋敷を中心に形成された町の地割や道路形状は,江戸期以降大きな変化が認められず,
江戸末期から昭和戦前期に建てられた主屋や土蔵・蚕室など,伝統的な建造物が良好に残され,
藩政期の武家地特有の歴史的風致を今日によく伝えている.