福岡県 八女市 八女福島 Yamefukushima
19.8ha 2002.5.23 選定 商家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
福岡県南部に位置する八女福島保存地区は,江戸初期に形成された城下町の町人地部分にあたり,
後に久留米藩内で最大級の在郷の商家町として発展した.
街路沿いには塗屋造の町家を中心に伝統的建造物が連担して残されており,
城下町として計画された町割等と併せて,江戸時代から近代にかけて町の歴史を伝えている.
福岡県 八女市 黒木 Kuroki
18.4ha 2009.6.30 選定 在郷町
選定基準:伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している
黒木氏に拠る猫尾城が落城後, 八女市黒木は久留米藩の在郷町として発展した.
町家は明治13年の大火前後の建築で,妻入二階建て・人母屋造桟瓦葺を基本に両袖に下屋を降ろし,
主屋と蔵の機能を併せ持つ居蔵の形式が特徴である.
土蔵・離屋及び小堂などが,矢部川沿いの廻水路や玉石積みと共に,固有の農村景観を醸し出している.
福岡県 うきは市 筑後吉井 Chikugo-Yoshii
20.7ha 1996.12.10 選定 在郷町
選定基準:伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している
筑後川中流域にある吉井は,江戸時代中期以降に,商品作物の栽培・加工及びその集散や,
「吉井銀(よしいがね)」と称された有力商人の金融活動などにより, 地域経済の拠点とLて繁栄した.
旧豊後街道などの街路に沿って漆喰塗りの重厚な町家が連続する町並は,
明治2年の大火を契機に,経済の最盛期であった太正期までにほぼ出来上がったものである.
福岡県 うきは市 新川田篭 Niikawa-tagomori
71.2ha 2012.7.9 選定 山村集落
選定基準:伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している
うきは市の山間にある保存地区は,市域を二分して南東から北西に向かって流れる隈上川沿いにある.
地区は,隈上川上流部が田篭地区,下流部が新川地区で,川沿いに民家が分布する.
くど造り民家 「平川家住宅」 をはじめとして伝統的な茅葺き民家が多く残って おり,
茅葺き民家と石垣で造られた棚田や河川などと一体となり,特徴的な歴史的風致を形成している.
福岡県 朝倉市 秋月 Akizuki
58.6ha 1998.4.17 選定 城下町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
秋月は,1623(元和9)年に黒田長興を藩主とする秋月藩の城下町として成立し,江戸期を通して栄えた.
近世城下町の町割が原型となっており,街路構成・屋敷地の地割・水路網等の基本構造が保持されている.
さらに近世から近代にかけての武家屋敷,および町家に加えて寺社建築等も現存し,
城下町らしい歴史的風致をよく伝えている.
佐賀県 鹿島市 浜庄津町浜金屋町 Hamashodumachi-Hamakanayamachi
12.8ha 2006.7.5 選定 港町・在郷町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
有明海西側の浜金谷町保存地区は浜川河口の右岸に位置し,長崎街道のひとつ多良海道が町の中央を通る.
近世に鹿島藩の港町として、商人や船乗り、鍛冶屋等が住み発展した.
河港の町の骨格と,海道沿いや小路の敷地背後に走る水路が,往時の地割をよく残し,
茅葺や桟瓦葺の町家景観と共に,在郷町として特色ある歴史的風致を今によく伝えている.
佐賀県 鹿島市 浜中町八本木宿 Hamasnakamachi-Hachihongishuku
6.7ha 2006.7.5 選定 醸造町
選定基準:伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
有明海西側の八本宿保存地区は浜川河口の左岸に位置し,長崎街道のひとつ多良海道が町の中央を通る.
近世の宿場町から酒造など醸造業を中心に発展し、街路と水路を骨格とする町である.
防火構造の居蔵造町家・土蔵造大型酒蔵・桟瓦葺真壁町家・茅葺町家・武家住宅・洋風建築等,
質の高い建築が豊かな町並を創出し,変化ある独特の風情を醸し出している.
佐賀県 嬉野市 塩田津 Shiotatsu
12.8ha 2005.12.27 選定 商家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
塩田津は有明海の干満の差を利した川港と長崎街道が育んだ商家町で,蓮池藩の統治の拠点として栄えた.
町並みは,藩政期に遡る地割を背景に,重要文化財西岡家住宅と登録文化財杉光陶器店を核とし,
「居蔵家」と呼ばれる江戸後期の町家,塩田石工による石垣や仁王像・恵比寿像等が景観構成要素である.
これらの景観が重厚な歴史的風致を形成している.
佐賀県 有田町 有田内山 Arita-Uchiyama
15.9ha 1991.4.30 選定 製磁町
選定基準:伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している
佐賀県西部にある有田は,江戸時代から現在に至るまで,磁器生産の町として知られている.
有田焼は国内だけでなく欧州各国にイマリの名で輸出された.
大通りを中心とする約2kmの細長い町並みには,表通りの商家ならびに付属屋,窯元の屋敷および付属屋,
洋館ならびに社寺建築等々,和風から洋風にいたる様々な意匠の建造物が建ち並んでいる.
長崎県 長崎市 東山手 Higashi-yamate
7.5ha 1991.4.30 選定 港町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
東山手地区は,開港場の旧居留地の中で,大浦川右岸丘陵に位置している.
地区内には7棟の洋風住宅・活水女学院本館・旧英国領事館(重要文化財)等があり,
洋風住宅は、木造桟瓦葺・下見板張りペイント塗りで,海に向かつて開放的なベランダを付ける.
地区内にはオランダ板の石畳の道と石垣・石溝等,居留地時代からの工作物も残り、往時を偲ばせている.
長崎県 長崎市 南山手 Minami-yamate
17.0ha 1991.4.30 選定 港町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
南山手地区は東山手と同じく居留地だが,主として住宅地の区域で,長崎湾を見おろす丘の上に位置する.
保存地区は旧居留地の下等地である南山手町の大部分に海岸部の要所を加えた範囲で,
明治時代の洋風住宅建築が比較的良好に残る.
地区の北寄りには1864(元治元)年建設の大浦天主堂やグラバー園があり,長崎のシンボル的存在である.
長崎県 平戸市 大島村神浦 Oshimamura-Kounoura
21.2ha 2008.6.9 選定 港町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
平戸島北方の的山(あずち)大島に位置する大島村神浦は,江戸期の捕鯨とその関連産業の港町である.
湾沿いにゆるく屈曲した通りには,江戸期から昭和前期の町家が建ち並び,
高台の寺社と山や海とが一体となり,歴史的風致を形成している.
長崎県 雲仙市 神代小路 Koujiro-kuuji
9.8ha 2005.7.22 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
神代小路は,1584(天正15)年の九州国割を経て1608(慶長13) 年鍋島信房が初代領主となったことに始まる.
城趾の森と堀を兼ねる川に囲まれた武家地特有の閉鎖的空間は江戸中期の地割をよく残し,
武家屋敷の主屋・長屋門が生垣・石垣・水路などの環境要素と相まって美しい町並景観を醸し出している.
大分県 日田市 豆田町 Mameda-machi
10.7ha 2004.12.14 選定 商家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
大分県西部に位置する日田市豆田町は,近世の城下町形成の後,
天領とされた1639(寛永16)年以降は商家町へと変貌し,九州の政治・経済の中心地として発展した.
南北2本の通りと東西5本の通りによる整然とした町割りを残し,
各時代で特色ある多様な建築様式は,変化に富んだ町並を形成している.
大分県 杵築市 北台南台 Kitadai-Minamidai
16.1ha 2017.11.28 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
杵築藩城下町の北台と南台は,武家地の台地間の谷や周囲を町人地とするサンドイッチ型城下町である.
戦後、北台と南台の武家地周囲に広がる町人地の道路は拡幅されたが、杵築藩時代の地割が残っている.
北台と南台の間は多くの坂で結ばれ,酢屋の坂や塩屋の坂をはじめとする石段や石積みの坂道が、
江戸時代末期の武家屋敷と共にこの地区の歴史的景観を特徴付けている。
宮崎県 日南市 飫肥 Obi
19.8ha 1997.5.18 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
宮崎県南部の海岸に位置する飫肥は、日向灘に臨む都市である.
保存地区は桃山期以降に整備された伊東氏の城下町のうち,城跡の一部とかつての武家町にあたる.
道路沿いに整然と積まれた石垣の上に石塀などを設け,薬医門や長屋門の奥に主屋を配している.
地方小藩の城下町の典型的な景観を保ち,江戸時代当時の地割もよく残Lている.
宮崎県 日向市 美々津 Mimitsu
7.2ha 1986.12.8 選定 港町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
日向市の南端に位置し日向灘に面する港町で,古くは神武天皇東征の海路の出発点という伝説がある.
江戸時代は廻船業を中心に,瀬戸内や近畿地方からの玄関口として美々津千軒といわれるほどに繁栄した.
江戸末期の妻入・本瓦葺・大壁造の町家,明治期の平入・瓦葺で虫籠窓ゃ格子構えの町家などが軒を連ね,
地割りも,町並みの旧態をよく保持している.
宮崎県 椎葉村 十根川 Tonegawa
39.9ha 1998.12.25 選定 山村集落
選定基準:伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している
県北西部の山岳地帯に位置する椎葉村は,村域の殆どが山林で,集落は深い渓谷の斜面に点在する.
保存地区の民家は3~4室の広い部屋が一列に並ぶ細長い平面形式を特徴としている.
この十根川特有の民家からなる建築群が,谷あい の地に緑豊かな山林に囲まれ,
石垣が重なりあう景観とともに優れた歴史的風致を形成している.
鹿児島県 出水市 出水麓 Izumi-fumoto
43.8ha 1995.12.26 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
出水は,鹿児島城を本城とする薩摩藩が肥後との国境に配した最大級の外城であった.
保存地区は,東西路四本・南北路五本の街路を骨格とする碁盤目状の旧武家屋敷地町の大部分である.
武家屋敷を構成する伝統的建造物群が,周囲の環境と一体となって麓の特色ある歴史的景観を伝えている.
鹿児島県 薩摩川内市 入来麓 Iriki-fumoto
19.2ha 2003.12.25 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
県北西部に位置する薩摩藩の入来麓の保存地区は,中世山城である清色城とその山裾に領主館をおき,
東を流れる樋脇川(清色川)との間の平地に広がる中心的居住地域である.
玉石積みの石垣と生垣によって区画された屋敷割りは,近世に形成された街路を踏襲し,
周囲の山々とー体となって美しい緑地景観を創出している.
鹿児島県 南九州市 知覧 Chiran
18.6ha 1981.11.30 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
知覧は薩摩半島の中央部南寄りに位置し,薩摩藩の麓の典型的な遺例の一つである.
曲折ある道路に沿って切石や玉石の高い石垣を築いた広い屋敷地を配する.
江戸時代中・後期の策定になる7箇所の庭園が,知覧麓庭園として国の名勝に指定されている.
これらの作庭手法には琉球庭園と通じるものがあり,庭園文化の伝播を知る上でも貴重な存在である.
鹿児島県 南さつま市 加世田麓 Kaseda-fumoto
20.0ha 2019.12.23 選定 武家町
選定基準:伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持している
薩摩半島南西端の南さつま市加世田麓は,15世紀以降の島津家山城の外城として地割が整備された.
保存地区は,自然地形に沿った曲線的な街路や地割は江戸時代以来の姿を留める.
武家住宅やその形式を引き継ぐ主屋をはじめ,用水や生垣など,
地形を巧みに生かして形成された麓の独特な歴史的風致をよく伝える.